いつか見た夢を

シカゴスターズシリーズの最後です。
途中からものすごくのめり込んで読んでしまって、寝不足です。
相変わらずのテンポの良い会話には、何度もぷっと吹いてしまいました

恋人に捨てられ、世界平和のために奔走する母親に全預金を盗まれ、家も仕事も失った放浪する画家ブルーが出会ったのは、アメフト選手で俳優バリのハンサムなマスクをもつディーン。
ディーンの申し出た取引=しばらくディーンの婚約者の振りをするために二人はテネシーにディーンが買い、彼の代理人のスーザン・オハラが改装中の古い農家にやってくる。
そこでまっていたミセス・オハラは実はディーンの母親エイプリルで、彼女は長年有名ロッカーのグルーピー生活と麻薬とアルコールにどっぷりつかった生活をしてディーンの幼少時代を悲惨なものにした張本人だった。それだけでも耐えがたいのに、ディーンの父親=有名ロッカーのジャック・パトリオットの娘ライリーが、母亡きあとの家族のつながりを求めてはるばるナッシュビルからやってくる。
そしてついにはライリーを追って父親までもが。
荒れるディーンとディーンのとって清涼剤にような存在でなくてはならない存在になっていくブルー。
ブルーもまた、1つの土地に定着したい希望と、できなかった現実とのはざまで奇想天外な人生はディーンとの恋愛の追加によってさらに混乱を極めていく。

 
登場人物すべてが過去に傷持つ人ばかり。
誰もが誰かに裏切られて、期待や夢をあきらめて現実を見つめておりあいをつけていく。
でも、時にはあきらめなくってもいいじゃん!。もう一回、トライしてみようよ!
っていってるようでした。

とにかく奇抜なブルーは、女の子になりたくなかった女の子ってところでとっても共感。
いい人なんですよね。口は悪くてもね。
ハンサムで超セクシーなディーンになびかない数少ない女の子、そして退屈せず、なぜかとてもセクシーに感じるブルーに魅かれていくディーン。ディーンの好きな子はいじめる的な子供っぽいところや、ブルーが引くと少し時間をおく大人として余裕の見せ方のアンバランスなところがよいですね。
こういうキャラは珍しい。でも、そうなった経緯もうまーくかけてるので、とってもなっとく。

アメフトが前面に出てくるわけではなく、所有者の意地悪によって世間から忘れら去られたような町で
ご近所や家族の中でのこじんまりした話でした
そしてその近所の人々、家族とのからみが深く、温かく書けるのはやはりこの作家さんは上手ですよねえと思わせられました。
ロマンスらしい、最後はみんな幸せなラストもよい。
なんだか、長い間続いたシリーズなので、次はないのかと思うと正直さみしいですね。