ドーバーの白い崖の彼方に

夢中で読みました。
軽い感じのスパイものとは全くことなる、命をかけたスパイ同士のお話です。
歴史好きなこともあり、面白かったです。

5か月前の負傷のせいで視力を亡くしたアニークは同じフランスのスパイ、ルブランにとらえられ、拷問にかけられようとしていた。同じ牢獄にはイギリス人ス パイたちもとらえられていて、その中のグレイには今まで感じたことのない安らぎと親しみを感じていた。アニークの活躍により3人は逃亡に成功したが、グレ イはアニークをとらえて離さない。何としてもとらえられるわけにはいかないアニークだったが、冷たくでも熱くアニークをとらえるグレイに心を揺さぶられる 日々だった。ある日、ルブランの追ってが迫ってきたどさくさにアニークはグレイの元から逃げ出すだが。。。。

アニークがとにかく良かったです。
いろいろなつらい思いをしてきても、過去を振り返り後悔することもなく、ひそかな妄想や想像をするだけで自分の未来に希望を持とうとけなげに生きる、アニークにはとても魅かれました。
母と恩師を相次いで亡くしたこともあり、孤独な影をまとう、優秀なスパイ・アニーク。
そんな彼女に魅かれ、敵で追いつめなければならないという義務を意識しながらも、彼女が自分のものだと主張し守ろうとするグレイ。彼らの駆け引きは男と女であり、敵であり、捕獲者と捕獲されるものであることを感じさせて、絶妙なゲーム感覚を楽しませてくれました。
アニークの切なさ。グレイの覚悟。
最後にハッピーエンドを迎えることができた2人をみて、これがロマンス小説でよかったなぁ~と思いましたよ。
どちらかが亡くなっていたら、非常に悲しい話になっていたでしょうからね。。

続編もあるようなので、楽しみです。