バラをまとう天使

あつさにびっくりの本でしたが、おもしろかったです。
ジュディス・アイボリーは、私的に当たり外れの大きい作家さんなのですが、
今回は大当たり!
ヒロイン/ヒーローの成長ぶりが見事で、とてもおもしろかったです。

有能な弁護士の一人娘として育てられたクリスティーナは、社交界デビューの年に悪名高きケスター伯爵と出会う。彼は一瞬クリスティーナに心を奪われたように見えて、翌日には山のようなバラを贈ってくれたが、しばらくすると彼は消えていて、クリスティーナも父の進める准男爵の長男と結婚した。
その3年後、不妊を理由に離婚を提案されたクリスティーナは再びケスター伯爵、エイドリアンと出会う。
爵位をもった相手との結婚=父に認められる存在であることを求めてきたクリスティーナにとっては離婚してもしなくても、誰かの愛人になることなど耐えられないことだったが、エイドリアンをみるたびに感じる興奮とときめきを消すことはできなかった。よそよそしく過ごす日々の中で、エイドリアンがどれほど衰弱したか気づいたクリスティーナは、エイドリアンとともに生きること決める。
だが、エイドリアンの人生は嘘と作略に満ちていて、二人の幸せを常にゆさぶっていくのだが。。

 クリスティーナは女性にしておくのが勿体ないくらいに機転のきく女性だと思います。あの父にしいてこの娘あり。強情で、理屈っぽくて、気分屋に見えるところが多々あり、そして情熱的です。エイドリアンとは自分が望む関係を結べないと知りつつも彼と離れて過ごすことに耐えられず苦悩する姿は、たびたびでてきますが、そのたびにクリスティーナは成長していきます。
エイドリアンも、妻などいらない。。と思っていたのが、いつまで一緒にすごしてもクリスティーナ無しで生きていくことを考えられなくなり、自分の考えを改めていきます。

男と女はお互いの思うように動かない、でも愛する気持ちがあれば、そういう相違や擦れ違いもこえていける!って思えるような、歴史にうまーくからめた本当長くて手が込んでて、おもしろいロマンスでした!