羽根をなくした天使

ちょっとサスペンスっぽいけれど、深く傷ついた女性が再生していく、考えさせられる話でした。

ボストンで前途有望なシェフとして働いていたリースは、ある強盗殺人事件に巻き込まれて、同じ職場の家族のようなしたしい友人たち、親友を殺害され、自分自身も重傷を負い、何日も生死の境をさまよったのちに、なんとか生き延びた。そののちに彼女を襲ったのは、犯人の顔を覚えていない自己嫌悪、生き残った罪悪感、神経症、PTSD。仕事にもいけず、家族とも他人ともすごせず、精神病院に入院したり、セラピーを受けて、やっと1日1日生き抜いてきた。


ある日ボストンのすべてを売り払って旅にでて、今日はエンジェルズ・フィストにたどりついた。所持金もつき、車も故障して、リースはサインを感じ取った。しばらくここにとど持ってみよう。。そんな風に思いながら歩いていると、シェフ募集の張り紙をみつけ。。

 ヒロインには脱帽です。
同じ状況に立たされたときに、自分ならどうするか。。。こんな風に強く生きられるかどうか。。。考えさせられました。今持っているすべてを強引にはぎとられ、一人で生きることを余儀なくされる。犯人を憎みたくても何も覚えていない。。そんな状況をどれくらいの時間がたて場、前向きに進むことができるのか。。どんな状況でも前に進もうとするリース、自分の好きなこと=料理にいろいろこだわりを持ち、自分の理想に近づけようとするリース。傷ついている状態だからこそ見えてくる本質的な強さを感じました。
ヒーローのブローディはサスペンス小説家。リースのような過去を持つ女性が付き合う相手としては意外でした。ブローディの好みは大人で自立している手のかからない女性。手がかかりすぎるリースは正反対のタイプなのに、妙に気になる。でも、なれなれしくしたりしないし、特にアタックもしないところがグッドです。そしてロバーツ作品らしく、家族のような臨時たち。マック、リント、ドック、そしてジョーニー。みんな家族のようにリースを包み込んでくれます。
ワイオミングの美しい自然と人生の再生。とてもよかったです。