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裏切りは愛ゆえに

中世の肥沃で広大な領土の後継者としてのヒロインの苦悩と人生が描かれていておもしろかったです。

12世紀、イングランド一豊かで広大な領土の女領主のキャサリンは、つい最近夫を亡くしたが王に保護を求めなかったために、近隣んも領主の攻撃を受けていた。
キャサリンは双子の子をうみ落としたばかりだったが、子供と領土のためにただ一人この状況を救うことができるド・ローラン卿の元に馬を進めた。かつてのキャサリンの婚約者であり、結婚の一週間前にキャサリンに捨てられたと思っていても、彼以外に助けを求められるあてもなかった。
予想どおり冷やかな対応で迎えたド・ローランは窮状を救う代償としてキャサリンとの婚姻を求める。婚姻によってスタンフィールドをド・ローランのものにするためだったが、すでに長男を産み落としているキャサリンは、子供が生きている限りスタンフィールドがド・ローランのものにならないことを承知しており、さらにキャサリンは何としても長男を守りぬこうと誓っていた。
5年前の婚約破棄、その後のキャサリンの結婚により、今回のスタンフィールドの襲撃も罠かと疑ってかかるド・ローラン。それでも一緒に暮らすうちに5年前の愛情を取り戻し一度は心を通わせたかに思えた2人だが、キャサリンの処方したド・ローラン用の薬をなめた猫が毒死したことにより、ド・ローランが再びキャサリンに敵意をむき出して、キャサリンを幽閉してしまうのだった。

 ド・ローランへの愛と息子への愛、領土に対する責任、敵がド・ローランや息子を傷つけるのではないかという恐怖。結構、たんたんとよく書いてありました。
愛のため、とはいえ結果的にはド・ローランをだましておいて、「でも本当のことを知っても彼が私を愛してくれていれば許してくれるわ」的に考えるヒロインの能天気さというか楽観的なところは、面白いくらいでしたが、12世紀のこの時代では、女性っていうのは財産の一部で、一人立ちしようというのは無理な時代なのだなあ~、としみじみ。ド・ローランとの勝手な結婚を王が許さずに無効にするかどうかともめるときに、「スタンフィールドのためにほかの貴族と結婚させられる」という話がでてましたが、そういうものなのでしょうねえ。
敵のラナルフの妻に対する扱いも相当ひどいものがありましたが、現実的で、寒気がしました。1年に流産3,4回ってさ。。。死んじゃうよ・・・・

キャサリンは、まあお気楽なキャラですが、芯のとおった強い女性ですね。目的のためにはなんでもなぎ倒していく強さがあります。
ド・ローランはかなりくら~く書かれていますが、キャサリンへの愛を捨てられず、信用できないし一緒にくらせないけど、彼女がいない世の中なんて生きてる意味がないってくらいにぞっこんで、そこまでのめり込んでしまうのはある意味ではかわいそうかも。
ヒストリカル好きなので、特に大きく魅かれるところはなくっても話として全体的にうまくまとまっていたので楽しめました。
欲を言えばハッピーエンドのプロローグとかあるとよかったけどね

作家のカレン・フェネックはまだ長編は2作しか発表していなくって、この作品が2作目にあたるのだそうです。それをどう判断していいかよくわかんないけどね。