ただ愛しくて

「ただ忘れられなくて」の続編です。
SIMPLY シリーズとなっていて4作で1シリーズなのだそうです。
作中、ヒーロー・シドナムの兄キットやベドウィン一族など個性豊かな脇役がでてきますが、
こちらは「SLIGHTLYシリーズ」などですでにおなじみ?な顔ぶれのようです。

SIMPLY シリーズが翻訳おわったら、そっちもお願いしたいですねえ

 19歳の時に家庭教師をしていた家で、乱暴され子を身ごもってしまったアンは、当時の婚約者や家族からの「かえって来ないほうがいい」という言葉に拒絶と裏切りを感じ、家族はいないものとして息子と2人で教師をしながら暮らしていた。
息子の父のいとこ、ジョシュアの誘いで、海辺の荘園を訪ねる。アンの息子ディビットは自分の求める父親像をジョシュアの中に見出し、ジョシュアの子どもたちとも楽しくくらし始める。
なれない人たちの中で未婚の母であることを強く意識し、緊張するアンは海辺を散歩する。そこで、荘園の管理人シドナムと出会う。シドナムの顔に負った傷をみて、最初は逃げ出したアンだったが、シドナムの中に自分と同じ孤独を感じ、異性として魅かれる気持ちを押し殺して友達として楽しく過ごし始める。最初は不安だった1か月が瞬く間に過ぎ、まもなく学校のあるバースに戻るころ、シドナムと2人ででかけたアンは、いつものようにお互いの孤独をうめる会話から抱擁し、キスし肉体をもって慰めあう。最初はシドナムのキスと抱擁に高まったアンだったが突如乱暴された時の記憶に支配され、硬くなってしまうのだった。シドナムはアンに結婚を申し込むがアンは断る。しかし、子供ができていたら必ず連絡することを約束してアンはバースに帰るのだった。
そして2か月後、アンは約束どおりシドナムに連絡する。子供ができた、と。ただちにシドナムは結婚の支度をしてアンを迎えにむかうのだった。

 2人の間には同じ孤独や傷を負った仲間意識?なのかな、友情?なのかながあり、とても穏やかな関係です。時に熱い情熱があるわけでもないけれど、夫婦としてやっていこうと努力し、歩み寄り2人は偉いし、相手が嫌がることでも長い目、客観的な目で見て必要なことを手助けする2人は、やはり特別な絆で結ばれてるな~と感じました。
9歳という微妙な年齢で、絵も大好きだけどスポーツなども一緒にたのしんでくれる父がほしいディビットの心情や悩みもよくあらわれていて、シドナムをパパと呼ぶまでの葛藤は納得いくものだったですね。しみじみとよい話です。