放蕩貴族の天使

不細工でリューマチもちの家庭教師が、放蕩ものの侯爵の弟と恋に落ちる物語、という身も蓋もない紹介文が多かったのですが、思いのほか面白かったです。

 

 ラングロウ侯爵の幼い2人の娘の家庭教師として雇われたセレスタイン。青春時代は父の介護に捧げ、すっかり行き遅れてしまったが、職につけたことをありがたいと思っていた。関節炎を患い、体もそんなに丈夫でなかったので、将来への不安は常にあるのだが。

ある日、侯爵夫人がセレスタインを雇ったのは、不器量で侯爵の弟で有名な放蕩者のシンクレアに誘惑される心配がないから、と話しているのを聞いてしまう。セレスタインの前任者はシンクレアに誘惑され首になったそうな。。夫人は、今年こそシンクレアを結婚される気をおり、弟を呼んで花嫁候補と合わせる間、器量の良い家庭教師とシンクレアが戯れ首なるなど、子供たちの教育に支障をきたすことは避けたいと考えており、夫人にとってセレスタインは適役だった。

 

そんな風に思われていたのね。。。と少しショックを受けるも、自分でも特に自分が美しいとおもったことはなかったので、仕方ないわねと仕事に精を出す。

しばらくして屋敷に到着したシンクレア卿は魅力を体現したような魅力あふれる美青年。そんな人が自分に興味を持つわけがない、と思いながら、シンクレア卿はなぜか頻繁にセレスタインに絡んでくる。

 

シンクレアは、最初は無理やりにでも結婚させかねない姉への抵抗としてセレスタインに絡んでいたが、徐々にセレスタインの純粋なやさしさ、知性と献身的なところに惹かれていくところが丁寧に描かれています。

高圧的な態度の侯爵夫人、セレスタインのおばで侯爵夫人の親友エミリー、グリセルダなど周りのキャラもいい味をだして2人を優しく包み込み、すてきな話でした。