聖なる谷の淑女

おもしろかったです!
すごく!このスキャンダルの自分を抑えて相手を尊重しながらも、自分が満たされている行く感じが最高です。
さすがローレンスです。

 

1819年12月。スコットランドの人里離れた谷に肥沃な土地を、ザ・レディより任され、おつげを受けて正しい方向に導く聖なる女性カトリオーナは、不思議な夢を見た。そこに出てきたのは男の顔、たくましい戦士の顔だった。お告げによれば、意外にも、将来、彼女の子供たちの父親になるのがその男だという…。そんな折、亡くなった後見人の遺言の読み上げに立ち会うことになったカトリオーナは、ハイランドへ向かった。そこで出会ったイングランドの名門シンスター家の男性リチャードこそ、幻に出てきた男だった。

前作までもスキャンダルがヘレナの実の息子でないことは触れられていましたが、実際に母がいて、しかも彼女には夫がいて、と少しなまなましい展開から始まるわけですが、征服し守り抜く戦士であるはずのリチャードが、カトリーナを守り、彼女の生活、谷、財産を全力でサポートする側に移るとは。。全然想像できませんでした。
だって。。巫女のようなカトリオーナの夫といえば、旅館の女将の夫=ほとんど表にでない影の存在。いてもいなくても、、、のような日蔭なイメージが強かったから。。
でも!そういう風でもいい!と思うにいたったリチャードの愛の深さと望郷の思いをからめてみると、彼がカトリオーナに受け入れてもらえなかった時の絶望も納得。そして、必要とされなくてもそばにいたい!と思ってしまうあたりはうるうるです。
カトリオーナも決して悪い人ではなく、たた一生懸命自分と自分の財産を守っていて、そのためにいくつか見えないことができてしまうけれど、素直にいい人だなあと思う女性でした。
そういう女性と結果的には心を通わせあい、自分の人生の基礎を作ることができて、本当によかったよね、リチャード!
社交界もなく、田舎の大家族の中で終始するこの話でしたが、シリーズの中でもとくに気に入りました。