はしばみ色の甘い誘惑

今回のジュリア・ロンドンもすごくおもしろかったです。
厚い本ですが、あっという間に終わっってしまった感じです。

”リージェント街の放蕩者”と呼ばれた4人組は親友同士だった。だが、フィリップ・ローゼンボーが酒におぼれ、いかさま博打に明け暮れ、そんな見え透いたいかさまをエイドリアンがとがめたことにより、フィリップがエイドリアンに決闘を申し込んだ。狂気に駆られたようなフィリップの行動に、とっさにわが身を守る行動にでたエイドリアンの銃弾がフィリップを絶命させた。

いとこでもあったフィリップの死はエイドリアンを打ちのめした。罪悪感、後悔、思慕。。自分を責める材料ならいくらでもあった。3人になった”リージェント街の放蕩者”たちは、今後誰一人として、フィリップと同じような道を歩ませないために、連絡を取り合うことを誓いあう。
そんなとき、エイドリアンの父から、愚かな行動にでた息子を継承者として不適任として相続権を取り上げることを告げる知らせがはいった。生まれたときから父にはうとまれてきた。きっと自分は不義の子なのだろうとも察しはついていたが、自分が受け取って当然のものを、父の愛を一身にうけて育った弟ベネディクトが相続することになった。
自分に憎しみを抱いているような父の行動に、ひどくショックを受けるエイドリアン。
偶然にもベネディクトがすいている女性のことを知ったエイドリアンは、自らの復讐のために、その女性リリアナと結婚するのだが。。。

 リリアナの一途さには脱帽です。すばらしい!
こんだけの踏んだり蹴ったりな態度で接せられたら、逃げだしたくなるってば。
それでも常にユーモアを忘れず、こころ優しいリリアナに、硬く閉ざしていたエイドリアンの心が開いていきます。疑惑、疑い、嫉妬などの人としてあたり前だけどネガティブな感情と保護、情愛、未来のようなポジティブなところが絶妙に混ざり合って、とてもおもしろかったです。