至上の愛を

1作目からひょこひょこ登場しては、微妙な存在感を発揮し、密に恋をし裏切られ、最愛の父の本性をしり、何とか自分の人生を取り戻したい、と家を出たフィアが主人公です。
期待してましたが、期待を裏切らない面白さでした!

父の支配から逃れるために、スコットランドのやもめの資産家と結婚したフィア。スコットランドに行って、マクファーソンに息子がいることを知り、夫亡き後自分の物になるはずだった遺産を引き継ぐ子供たちの存在に愕然とする。だが、しばらくたつと子供たちとの日々は、フィアの失われた子供時代を少しだけ補充し、家族としての存在の大切さを実感させてくれるようになった。
それから5年。。。夫が亡くなり、亡くなる前に伯爵にさんざん巻き上げられた財産の中に、家も入っていた。フィアのためにスコットランドまでやってきた伯爵は家をマクファーソンの息子に譲りたければ、伯爵の道具としてロンドンに戻り、有力者を誘惑することを要求する。

久し振りのロンドンのパーティで、トマス・ダンは共同経営者のジェームズが夢中になっている女性として、ある女性とである。フィア・メリック。カー伯爵の娘にして、悪女、高級売春婦。幼いころの彼女をしるトマスには、美しい女性なるとわかってはいたが、今のフィアの美しさはすざまじいものがあった。心を奪われになるが、自分自身に言い聞かせる。彼女はカー伯爵の愛娘だ、伯爵同様冷血で残虐でないわけが無いではないか?それだけでも一族を皆殺しにされた恨みが募ってくる。。。
フィアの冷たい表情と世なれた悪女っぷりには、トマスはびくともしなかった。だが、彼女が見せた控え目な純真さ、朗らか笑顔、子供たちへの信愛、そしてからかわれて嬉しそうにするしぐさ。。それらによってトマスの心は、フィアに傾いていってしまう。。。

 


お互いにひかれながらも、トマスは自分の家族を罠にかけて殺害されるように仕向け、唯一命の助かった自分自身も奴隷として何年も希望のない生活を強いられ、故郷では一族みんなGは皆殺しか故郷を捨てることを余儀なくした伯爵を憎み、その娘であるフィアも同じではないかという疑いを捨てきれない。フィアも自分が世の中を苦しめた悪魔伯爵の娘であることを負い目に思い、愛を感じながらも一緒にいることを拒むわけです。もーそのやり取りが切ない!ぜんぜん派手ではなくってむしろ地味すぎて、ってくらいなのが余計にせつないのです。すんごくよかったです。
ラストの、フィアに求婚するも敗れ、自分の生きる目的や希望を失ってしまったトマスを見て、フィアは自分がトマスに与えた傷の大きさを感じ取ります。そしてそれは、何よりもフィアがしたくなかったことだったので、思わず。。。。なのですね。ラストまでも静かで美しかったです。
そしてそして!!えええええ!!!ってびっくり(わたしだ?)が最後にはありました。
彼女も目的を達成したけど、真実を離せない悲しさがのこりましたねえ。

今回のシリーズは素晴らしかったです。
今まで、ちょっと苦手意識があったけど、本当に素晴らしい作家さんなんだ!と再認識。
途中で投げ出したローズハンターシリーズも、そのうち再チャレンジしてみようと思います。