愛とためらいの舞踏会

私の好みからいえば、ロマンスなのに世間の風が厳しく世知辛すぎて、辛い部分も多かったのですが、でもおもしろかったです。

伝説の美女、ローズ・ブラウンとロズウェル公爵の間に生まれたマギーは、頻繁に変わる愛人に養われる母により私生児として育てられ、世の中の厳しさも知っているつもりだったが、母がなくなり住む場所も追われる段階になって、なんの技術も持たない自分が、一人前に働いて生きていくことの難しさをつくづく思い知らさせれた。
残された道はただひとつ、誰かの愛人として生きるしかない。
元母の愛人に紹介されて出会った男性は、母の死後、友人と出かけた海辺の村で出会い、互いにひかれあった男性だった。疲れ寂しそうで、自分のすべてを捧げて彼を癒してあげたいとおもったが、紹介された直後、激怒し引きズるようにしてマギーを連れ去った。
自分が誰かの愛人だったから怒っているの?
彼だって、名前を偽り、身分も偽って、自分をだましていたではないか。
アストンと名乗った青年のハンサムな外見と孤独さのにじみでる雰囲気がマギーをたまらなく魅了し、誰にも感じたことのないのめりこむような愛情を感じ、すべてをささげようとしたが、あくる日
目覚めると彼は何の書き置きも残さずに消えていたのだ。
その後、友人からアストンが実はベルモント侯爵アダムであることを知り、自分とは世界が違う人だと諦めたのだが。。。。。運命の糸は、マギーをアダムの愛人となるように導いたのだった。

 
マギーは世間知らずながら、誠実で優しい、いい感じの女性です。自分に許される範囲を自覚しながらもプライドを忘れずに、できるだけ誇り高く生きていこうとしていますが、愛するアダムのため、彼の孤独をいやすために愛人として我慢します。
アダムもまた、いい人で、家への責任、母への忠誠心、世間一般に常識をひたすらに守ろうとして、それが自分の感情を押し殺すことになり、疲労していってしまう男性です。
特に花嫁選びは彼にとって苦痛以外の何ものでもなく、侯爵夫人の座を狙って画策するご婦人たちにまったく魅力を感じず、自分の理想としてはマギーのように心が通い、一緒にいてくつろげる女性と一緒になりたいと思っているのに、マギーとの身分の違いによりそれもできず、どんどん自分を不幸にしていってしまいます。なんともかわいそうな男性です。
そのアダムの弟で、侯爵の次男として淑女にはどーでもよく扱われ続くてきたジェームズは、マギーの友人で、ローズと同じく高級娼婦として生きてきたアンに惚れてしまいます。そして大叔父が亡くなり男爵位を継承し、小さいながらも領土を相続すると、とたんによってきた花嫁候補たちをけちらして、アンを説得して結婚してしまいます。
これにアダムは激怒!母に対する思いや家名に対する侮辱だと怒りまくります。
そして自分もいよいよ結婚を決め、結婚の前にはマギーと別れなければならないと、どんどん絶望していくのです。そんなアダムの不安定な状態を感じ取り、世間的にもアダムの結婚の影響を受けたマギーは、ひょんなことから、アダムの従兄からプロポーズを受け、一人では生きていきない状態になっていたため、アダムから離れるため、自分と自分の子供を守るために、プロポーズを受け入れます。
しかし、自ら別れを決めていたはずのアダムは、自分から離れていったマギーを許すことができずに・・・・

重いんです。とっても、
正直、わがままですが、ヒーローには頼りがいのある男性でいてほしい気持ちもあって、このアダムは、頼りがいは皆無で、むしろまもってあげないといけたいような感じで、結構つかれました。

ストーリー的にはよく出来ていて、脇役が大活躍しならがも話の展開に貢献していくのは、うまいなあ、と思いました。