月影のメロディーを胸に

ラストワルツはあなたとでなぞの音楽家の伯爵にメロメロになっていたフェイスがヒロインです。
今まで影がうすかったけれど、その反動として今回大活躍。すごく楽しめました。

運命の相手と思って駆け落ちし、結婚した相手が実は妻も子供もいるとしったフェイスは、異国の地に居ながらも家を飛び出し姉妹の元にもどろうとしたが、世間の冷たい扱いにもまれ、空腹と傷ついた体に鞭打ち、自分のプライドを守るためにフランスの砂漠を逃亡していた。
砂漠で出会った元軍人のニコラスに助けられ、けがの治療をしてもらい、それまでの身の上話をする。それを聞いたニコラスは、あっという間にフェイスとの結婚を決める。ニコラスとの結婚後、名誉を回復したフェイスは姉妹のまつイギリスに帰り、ニコラスとは離れて暮らすというのが彼の作戦。一度は誤った判断で結婚したが、次こそは愛する相手と結婚したい、と抵抗するフェイスだが、ニコラスの意思は固く二人は結婚するのだが・・・・

 
ニコラスがよいです。
フェイスもけなげで必死で、かわいらしくいじらしいのですが、ニコラスの不幸があるからこそ、愛が深まっていったような気もします。
ここまで絶望的に不幸なヒーローをいやし、愛することを思い出させ、生への欲求を思い出させるフェイス。別れることがわかっていても、フェイスを離れがたく、愛するつもりなどなかったのに、あいしてしまうニコラス。
ニコラスに追い払われても追い払われても戻ってきてしまうフェイスがいじらしいです。
シンキ臭くならない程度の深刻さ、切なくなりすぎない程度の切なさ。微妙な止め具合がよいです。
とにかく夢中になって読んでしまいました。
進むにつれ夢中になってきましたよ、このシリーズは。