夜風はひそやかに

ジャッキー・ダレサンドロのメイフェア・シリーズの1作目です。
この作家さんらしい丁寧な人格構成、心理描写で楽しめました。

 

医師の娘で財産もなく、美しすぎる姉を持ったために常に母から蔑まれて、目が悪くて目が大きく見えるほど底の厚いメガネをかけた、10人並みの器量をした26歳のオールドミス、であるサラは、3年前に夫を亡くしてからも悲しみにふけり喪を明かさないままの姉に付き添ってラングストン侯爵のハウスパーティに訪れた。サラは、求婚者には恵まれなかったが、野原を走り回ったり、自分の好きなことを追及する時間を持つことができ、充実した人生を送っていた。ここ、ラングストン侯爵家でも見事な庭をみてスケッチするのが待ち遠しかった。そこで、姉や友人との読書会(姉たちを楽しませるためにサラが考えた当時では淑女が読むべきでない本を読む会)の翌朝、まだ夜も明けきれぬころに庭の探索に出かけた。そこで、この家の主ラングストン侯爵と出会う。ハンサムで優雅な侯爵は庭仕事がすきらしく、土にまみれていた。朝の親密な時間を共有したふたりは、お互いにひかれ始めるが。。。

この時代からいってもサラはユニークです。そしてそんなサラに魅了される男が2人も同時に現れるのも変わってるのかもしれませんね。生き活きとして自由なサラ。この時代にこんな生き方も可能だったのかな~って思うくらい、自由にたのしそうです。
対するヒーローのマシューは、なんだかかわいそうになる位不運な男です。兄弟を亡くしたことをおまえのせいだ!と父にずっと責められ、そのためにたった一人の肉親でもあった父とも疎遠に。やっと和解したとおもったら父はなくなり、莫大な借金だけがのこされていて、マシューはその対応と父がかくしたかもしれない幻の財宝さがしに明け暮れる日々。花嫁も探さなければならないけれど、結婚にまったく魅力も感じておらず、希望ももってない。爵位はあるけれど、なんともさみしい男です。
金持ちの跡取りむすめと結婚しなければならない。でも結婚したら彼女の犬が。。。。。というマシューが想像しては自分で萎えていくさまは、お気に入りです。
そんなマシューの心をくすぐり、隠れた理想の女性像と一致する美点をもったサラに魅かれていくのはしかたないのかもしれませんね。
この2人の心の寄せ合い、お互いへの思いやりがとてもあたたかでよいです。
マシューの愛犬ダンフォースもかなりいい味だしてます。

脇役も今後の続編のヒーロー、ヒロイン揃いなので、みんな魅力あるんですが、特にめだったのがローガン・ジャンセン!アメリカの大富豪にして変わったもの好き。だからサラも好き!クールで機知にとんだ男っぷりは、少ない出番ながら強い印象を残しました。彼は4作目のヒーローだそうです。