時のない楽園

せつない。ひたすら切ない。
こんな感じは久しぶりで、よかったです。

 

結婚に失敗しすっかり自分に自信を失ったジャナは、アメリカ先住民の聖地、クイーン・シャーロット諸島にやってきた。長期間滞在用のコテージを借りて、借り物のボートで一人のんびりとしていたが、突然の嵐のボートの故障によって海の中に投げ出されてしまう。自分の命をあきらめていはなかったが、疲労し意識が失われそうになったときに、たくましい男性に助けだされる。
先住民の血を受け継ぐ巨漢の男性はレイバンと名乗る。神のように美しく、たくましいレイバンにたちまちにひかれていくジョナだが、自分自身に自信の持てないジョナは積極的にいきたいような、行って傷つくのが怖いような。嵐のせいでしばらく2人きりで楽園に閉じ込められたことでお互いの話をいろいろして理解しあい、ジョナがレイバンを愛してしまうことを止めるものは何もなかった。

 
2人だけの楽園です。
でも、2人とも根深いコンプレックスを抱えていて、自分をすいてくれるわけはないと信じこんでいます。
そして愛はなくても体の思い出をこの楽園でつくりたい、とせっせと体を合わせるわけです。
まあ、退廃的で刹那的ではあるのですが、ジョナがいくら愛しても、愛を告白しようとしても自分を信用できないレイバンはそれを嘘と決めつけて拒絶します。そんな理由が理解できないジョナは、レイバンにはほかに愛する人がいるせい・・・と自分を苦しめてしまうわけです。
そんな二人の感情の行き違いがせつなくって、たのしめました。

最後のレイバンのさとりが、いままでのにぶちんさ加減からすると、素早すぎて、ちょっと不満でした。