じゃじゃ馬令嬢に美しい罪を

エマ・ホリー翻訳2冊目ですが、今作を読んでものすごく好きになりました!
すっごく面白くて素晴らしい。
ちょっとHはシーンが満載ですが、ぜひお勧めしたい一冊です!!

モンマス公爵令嬢であるメリーは20歳になったが、3人の兄に囲まれて育ち、飛びぬけて美しい訳でもなく、頭脳明晰で行動力があり、的を得たものいいは求婚者を遠ざける一方だった。だが、メリー自身は自分を制する夫はほしくない、自分は牧場をやりたいと強く希望し、結婚よりも自分の自立を目指したがっていた。
しかし、父の元で働く幼馴染みとの結婚を強要する母に愛する父までもが加担し、長年の乳母で母よりも母らしかった老侍女が結婚しない罰として解雇されたとき、メリーは自分の名誉を結婚できないまでに落そうと決意する。
そして数日前に強盗に襲われそうになったところを助けてくれた有名な画家、画力がすぐれているだけでなく放蕩者で女性の名誉を落とすといわれているニック・クレイブンにモデルに誘われたことに飛びついた。

 
何が良いって、ヒロインのメリーが最高です。
すごいじゃじゃ馬ぶりですが、そうせざるをえない事情(メリーの立場として)もあり、母の都合に振り回されて自分の望まないことを強要された女性として、ちょっとかわいそうだなと感じました。
でもその状況を抜け出すためにとった手段は、たしかに確実だけど致命的。でも本人も自分がものすごいことをしていることを分かっていて、少し怖くなったり、回りに迷惑をかけたりと心配しているからよくいる天然系ヒロインとは違ってしっかりと現状把握できている女性たと思います。
また、ヒーローの苦悩や弱さ、を愛するようになる過程も非常に丁寧に書かれていて、そうすることでメリー自身も強くなり、大人になっていきます。最後の方のメリーは別人のようにきりりとした大人の女性になっていて、自分がしでかしたスキャンダルを誰に責められても構わない、と割りきるところはいさぎよくってかっこよかったですね。
ヒーローは、良くも悪くも芸術家ってかんじで、過去に起こったいろいろなことから逃げていたけれど、メリーと一緒にいてメリーと離れたくなくなって、やっと過去と向き合う覚悟ができたってかんじで、メリーとニックは10歳の年の差があるけれど、年のわりには幼く、メリーのおかげでやっと大人になれたような感じですね。

とにかく登場人物のみなさんがすべていきいきとしてみな曲者ぞろい。
メリーの母に関しては、事情をしると結構自分勝手でいや~な母親にも見えますが人間としてはそういうこともあるよなあ~と思うと憎みきれない。なんともキャラの書き方がうまい方なんですねえ。
いや~楽しめました。
エマ・ホリーということで情熱的なところを期待していましたが、そんなものよりキャラとストーリーがいきいきとした楽しい一冊でした