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一度の夏では足りなくて

超人的な話が続いたあとは、人間らしい話がよみたくなりました。
スーザン・ウィッグスは大好きな作家さんです。
普通の人間が普通に生きて恋する喜びややさしさ、さみしさを上手に表現する人だと思います。
今回もやられました。

20歳に時からシングル・マザーで、シアトルで新聞記者として働いていたケイトは、仕事を首になり、母が再婚してフロリダに引っ越し兄一家が東海岸に引っ越しても、例年とおり息子をつれてクレセント湖畔の古い別荘にやってきた。
そこで出会う謎が多いが妙に引かれるJD、孤独な家出少女ケリー。
4人は不器用に、ゆっくりとお互いの絆を作り、かけがえのない時間をともにするようになる。
ただ一度の夏しか続かない関係では終わらせなくない。と思うような素晴らしい時間を共有するが。。。。

 
ここまで登場人物の心情を細かく表現して、あちらこちらで共感させながら、うまくまとめられのってすごい!そして、ロマンスなのにいろいろなメッセージを(アイロニーも?)含めていて、シングルマザーとか虐待児、若年性糖尿病、メディアの在り方、家族の在り方といろいろなことが取り込まれています。
ロマンスでは運命の男性と出会うのはしごく簡単に書かれているけれど現実的によい人間でもある伴侶と出会う難しさ、特に子供がいる場合の困難加減は半端ないのだとあたり前のことを気づき、そしてだからこそJDとケイト、アーロンの間に生まれた絆が素晴らしいものだと感じました。
また、ケイトがたびたびアーロンが生まれたこと、自分がもっているものに感謝しながらもよりよい出来事を望むこと、JDやケリーが機能しなかったシングルマザーだった自分の母とケイトの在り方を、意識しないままに比較し、何とかして今までの自分以外の自分になろうともがく姿。。。非常に人間っぽくってよかったです。
そしてケリー。15歳になったばかりなのに人生のすべてをあきらめ、優しさや期待をできないようになっている少女。彼女とルークの関係、ケリーとアーロン、ケイト、JDの関係は信じられないけれど信じたいともがく女の子の苦しみが良く出ていてよかった。ルークとの淡い恋心が裏切られた瞬間、ルークが戻ってきて赦しをこう瞬間、それぞれ幼いころの恋心のかけらをのみこんだような甘酸っぱさがじーんときて、いや、もうどうしてこんなにいろいろな感情を呼び起こしてくれるんだろう~と不思議なくらい。ロマンスっていうか、人生ですね。

悩み、苦しみ、小さい幸せをかき集めて生きていくしかないけれど、小さな幸せの塊を持つ以上の幸せはないのだと思わせてくれる一冊でした。

すっごくよかったです。