暁の予知夢

ビバリー・バートンといえば、ハーレクインの「狼たちの休息」が有名なのでしょうが、私はそれ以外の単品ででているほうが好きですね。
南部っぽいくんずほぐれずの色情っぽい人間もようが大好きです。
そういう意味では、今回のは結構清い人間関係な気もしました。
ほどよいサスペンスで次回も楽しみです。

両親の祖母二人から不思議な力を受け付いた女性、ジェニーは女性の死のビジョンを察知し、いとこで保安官のジェイコブに女性の死と死体のありかを知らせた。ジェニーは幼いころからビジョンを見、動物たちを意思を交換し交友を深めてきた。彼女の祖母も同じ能力を有していたのでジェニー導き保護してきたがその祖母も亡くなり、ジェニーの血縁はいとこのジェイコブだけだった。しかし、故郷であるチェロキー・パアントにはジャジーをはじめとする友人、知人が沢山いて、1/4狼犬とともにジェニーは満ち足りて暮らしていた。
FBI捜査官のダラスは姪を連続殺人犯に殺されてから、仕事以外のすべての時間を連続殺人犯の調査に入れ込んでいた。姪の愛らしかった姿、娘を失った姉の姿を思い出すにつけ、連続殺人犯の逮捕を心に誓うダラス。そこへチェロキー・ポアントでの殺人が今までの手口によく似ていることを知り、少ない休暇を利用して直行する。そしてそこで運命の女性ジェニーと出会うのだった。

 
ストーリーは、まあ可もなく不可もないサスペンスですが、バートンの書く濃密な人間関係が、比較的ドライに書かれています。でも、ヒーローとヒロインは特殊能力とそのパートナーという形で、他の人間関係が普通である分、濃密に親密に描かれています。
ジェニーは霊能力者でビジョンをみるたびに体力を消耗し、どちらかというと守られる側のタイプのように見えますが、意思の強さと頑固さはぴか一です。
2人の温かな愛情は、悲惨でおどろおどろしいストーリーの中でとても清らかなものとして見えて、その対比がおもしろくてとてもよかったです。

そして脇役もよくって、ジェイミーという資産家のドラ孫息子と何度も騙されても関係をすてきれないジャジーや女性にほれ込むなんで考えられない!と思っているジェイコブ。二人の物語が2,3作目にくるようなのでとても楽しみ。ジェニーは天使のようで清らかでよいのだけど、人間的には欠点だらけのジャジーのほうに魅力を感じますからね。そして、本当にどうしようもないジェイミー!ジャジーの10代の恋人にしてジャジーが流産してしまった子供の父親。すでに2度の婚約を破棄し今回の婚約者と結婚しなければ家を追い出されそうな情けない男なのですが、バートンの話の中にはこの手の節操もないろくでなしがでてくるような気がします。そして、ろくでなしなんだけど、なんだか引かれちゃうんですよね。次作でジェイミーが死なずに立ち直ってくれることを少し期待します