奪われたキス

amazon.comでは1997の一押しヒストリカル・ロマンスだったそうですが、私的にはまあまあでした。

子爵の娘リリスは今年社交界にデビューしたばかりだが、黒髪にグリーンの美しい容姿のリリスに何人もの殿方が求婚するが、リリスはほとんど相手にせずその冷たい態度は氷の女王と称されるほどあった。実はリリスは、亡き母によって失墜した家名回復のため名誉ある結婚をするためだけに着飾り舞踏会にも出席していた。というか、母が家出して駆け落ち、捨てられて悲嘆のうちになくなった結果、父と叔母が執拗にリリスに完璧な淑女、そして名誉ある結婚を求め続けた結果だった。
最初は友人たちののぼせあがった態度を冷やかそうとしてリリスに近寄った放蕩貴族のジャック・ダンズバリーだったが、そのきっぱりとして拒絶に俄然好奇心をそそられ、リリスの美しさに魅了されたジャック・は、なんとか彼女を振り向かせようと、あちこちに現れてはリリスを惑わす。
そしてリリス一家の希望通りの縁談が決まりそうになり、ウェンフォード公爵がリリスに求婚しに訪問している際中に絶命してしまう。リリスは思わずジャックに助けを求めるが・・・・・

 


結構おもしろかったです。
リリスの本当は活発で、読書好きで、男性まさりな性格を、父や叔母の家名回復のために押し付けられている姿はかわいそうでしたね~。
ジャックは、放蕩貴族のふりしながらも、自国のためにスパイとして働いていたこともあり、その時に恋人と思っていた女性に手痛い裏切りをされ、結局彼女の命を奪ってしまった過去にとらわれています。そして、自分を罰するかのように他人には誤解させたままにするジャック。
最初はちょっかいだす程度にしていたリリスにキスをして、リリスの隠れた情熱に触れ、嫌っている素振りをしながらもジャックとの逢瀬を楽しんでいるリリスに魅了され、ふと聞いた噂を自分の身を危険にされして塀を2つも乗り越えてやってきてくれるリリスに撃沈してしまいます。
その影では、ジャックに賭けでいいカモにされ、名誉をひどく傷つけられたウェンフォード公爵の甥がジャックへの復讐のために叔父を毒殺し、自らがウェンフォード公爵になってリリスをジャックから奪おうとしたり、田舎からロンドンにきてはじけてしまったリリスの兄ウイリアム、ウィリアムをいいかもにしようとするアントニア、ウィリアムにあこがれるリリスの親友ペネロペなどなどが入り乱れて、話は賑やかに進みます。

19世紀の社交界・・・はなやかでありながら、腐った人間の多さに傷つくリリス。そんなリリスをかなり真剣に守ろうと影になり日向になりそばにいるジャック。
正統派ロマンスですね。