霧の宮殿と真珠の約束

前作 異国の子爵と月の令嬢もおもしろかったので、楽しみにしてました。
クリスティーナ・ドッドといえば「ロスト・テキサス・シリーズ」もでてますが、しっかりした人物描写やおちゃめなエピソード、愛情あふれる脇役っぷりは顕在で、読んでて楽しくなってきます。
久し振りに眠るのを忘れて読みました!楽しかった!

秀麗家庭教師学院の創設者の一人であるパメラは、先月の給与を回収した帰りに強盗に襲われ全給与を奪われてしまう。絶望に打ちひしがれて学院にもどったパメラは、ケリッチ伯爵が莫大な報酬の変わりに無理な依頼をしているところに出くわす。わらをもつかむ思いでその依頼に飛びつくパメラ。
しかしそのためにはパメラは醜い化粧を施し、数サイズ上のドレスをみっともなく着こなし、いつも以上に厳格な態度で毒舌を行使して、優秀な家庭教師の仮面をかぶることになった。
放蕩者で有名で比類ない美男子であるケリッチ伯爵を軽蔑していたパメラだが、養い子のためになれないことにもがんばり、パメラの毒舌にも楽しく受け答えしてくれるデボンの魅力に引き込まれていく。

 
デボン・ケリッチ伯爵は、少しわがままで自意識過剰なくらいに美男子で、寝室に召使が全裸でいたことをいまいましく思うまじめな面もある銀行家。過去にはいろいろあったのかもしれませんが、この話の中では色恋沙汰よりもビジネスの方に頭の向いたまじめな青年でしたね。
いとこにより不祥事を明らかにするために頭をひねり、祖父を大切にし、自分の銀行を守ろうとする姿はかっこよかったです。自分の人を引き付ける魅力に群がる女性にはイライラさせられながらも、自分に対して手厳しいパメラにはなぜ自分の魅力にひかれないんだろう。。と不思議に思い、今まではおとなしい妻を望んでいたのにパメラとのやり取りに魅力を感じ、なんと!中年のおばさんのような化粧とかっこをしたパメラにキスしてしまいます。
もー中身がよければ外見なんでどーでもよくなってしまったみたい!
でもひょんなことからパメラの本当の姿をみたデボンは結婚のことしか頭になくなってしまいます。
愛とか言わなくっても、あんだけプロポーズされたら、愛ににた執着があるってわかりそうなものですが。。。パメラの複雑な過去、自分の両親による自分のトラウマを冷静に判断し、パメラを追い詰めることなくしっかり抱擁し、最後は手にいれる。
う~ん!すてきなヒーローでした!

パメラはその非の打ちどころのない容姿にかかわらず、父親の影響で男性を軽蔑し、嫌っています。なのでデボンも容姿がいいだけである意味却下!なわけですが、自分の失礼なくらいのもの言いにも動じず受け止め、しっかりと返してくれるデボンはパメラのなかで大きな存在となっていきます。
そして動じないはずのデボンのほほえみにドキドキしたりして。。
男性は嫌いでも子供は大好きなパメラ。しっかりとべスの面倒とみて、今後のことも心配しながらも可愛がります。厳しい面、子供に対する愛情あふれる態度、そしてデボンに素顔を見られてからの冒険好きな面。パメラは本当におもしろい女性ですね。
ちょっとむちゃなこともやっちゃうし、恥ずかしがりながらも結構冷静に考えたりするし。

そして脇役!誰よりもデボンの祖父がお気に入り!さすが年の功!慧眼!とほめちぎりたくなる男性です。
すごい気に入りました。この話!クリスティーナ・ドッドもかなり自分の中でポイント高くなってきてます。続きも確実でそうで、うれしい限りです