愛のかけらは菫色

評判のロマンスですが、読んでみたらやっぱりよかった。

 

優秀な修復しだった父に一から愛び、自身の才能もあって当世で随一の修復師であるダフネは、トレモア公爵アントニーにあったとたんに恋に落ちた。彼の前に立つと言葉もでず、彼が何かたのめば自分の寝食を忘れて従事する。そして遠くから彼を見つめ自分の白昼夢の中で彼を愛するのだった。
そんなある日、アントニーの妹が訪れ、アントニーとヴァイオラの会話の中で、ダフネは機械だ、虫だと言い放つ。そんな二人の会話を思いがけなく聞いてしまったダフネ。愛するアントニーは自分を虫、機械だと思っている。そんな言葉を聞いてへこむどころか怒りに燃えるダフネは、修復師の仕事をやめ、ヴェイオラの誘いを受けて社交界で楽しむことを決意する。

一方アントニーは突然最優秀修復師に辞職を告げられ、あわてるあわてる。自分の都合や責任をのべたとたん更に怒りまくるダフネ。
しかし、自分の目的のために何がなんでもがんばるアントニーは、ダフネの説得に取り出す、あと3年、いや数か月でも。。。その説得の間に、今までなんとも思っていなかった女性が実は美しい瞳をメガネの後ろに隠し、素晴らしいプロポーションを修復師用のエプロンの後ろに隠し、強気で人を信用せず、機転がきいて会話を楽しめる女性であることにきづき、だんだんと彼女への欲望をつのらせていく。ダフネとの会話と彼女と過ごす時間は、公爵としての責任と義務に追い立てられてきたアントニーにとって唯一の自分へのご褒美のような時間だった。

 

よかったですぅ・・・
頑固で意地っ張りで頭が良くて目的意識のずれないダフネ。
国王以外の人から意見されることがない立場に、9歳から事実上たっていて、人からのNO!や意見を受けることになれていないアントニー。そんな二人がなんとか歩みよってくっつく話ですが、そのやり取りとか、アントニーからの愛情をダフネがかわす姿は、面白かったですねえ。
主人公2人にはそれぞれの孤独があって、誰にも理解されない孤独を抱え、お互いだけがそれに気づいていて、でも信用、信頼しきれずもたもたしてしまうけれど、その孤独ゆえに愛しあうわけだし、お互いを特別な存在にしているわけで、その辺のつながりもはっきりしていて迷いがないのがいいですね。ダフネがいくらアントニーの求愛をけってもけっても、その辺の絆が生きてる限り、安心して読めました。

しかし、公爵ってやっぱり大変な地位なんですね。
今回はそういう影響力みたいなところも詳しく書いてあって、客観的な公爵な立場もみれてたのしかたですね。この二人は、今後もけんか?議論しながら、お互いにとって唯一無二の存在でいれるのだろうなあ。と思える話でした。