赤い薔薇を天使に

これが処女作とは、すごいですね。
特に斬新さはないけれど、とにかくしっとりとしていたラブストーリーで、キャラや脇役が生き生きとしたお話でした。

さまざまな冒険にあけくれた船長である父が亡くなったあと、4人の妹弟と耳が遠い叔母の面倒を見てきたヘイリーは、男の名を使って父の冒険を小説にして売って細々と暮らしていた。
ある日、昔の父と働いていた船乗りたちとのロンドンからの帰り道、美しい馬を見つける。馬に導かれて進むと重症の男性が倒れていた。
ヘイリーは彼を自宅に運ぶと精一杯看病する。
看病のかいあり、意識をとりもどした男性は、スティーブンと名乗り、家庭教師で強盗に襲われたのだとか。ヘイリーは体が元に戻るまで滞在を進める。ハンサムで物腰に気品があり、何をやるにつけ日常のことに不慣れな様子でふと手を貸したくなるスティーブン。ヘイリーは26歳で身長も6フィートあり、数年前に父を亡くした時に妹弟の責任を負うのを嫌った婚約者に去られてから、男性に胸をときめかせたことすらなかった。
スティーブンの方も、人柄よく財産狙いでもなく、ただ人として尊敬できるヘイリーにひかれていく。
型破りなヘイリーの家族や使用人たちに、最初は閉口していたスティーブンも、いつしか人としての温かさに触れ、それぞれの人間的魅力み魅了され、その型破り加減をここちよく感じはじめ、すっかり溶け込んでいく。自分の家族にはなかった温かさに触れ、裕福ではないのに自分の家族より幸せそうなヘイリー一家を大切に思い、その中心にいるヘイリーを愛さずにはいられなかったスティーブン。いずれロンドンに戻る身のため、ヘイリーから離れていようと思ってとった行動が、かえってヘイリーを傷つけてしまう。傷ついたヘイリーを慰め、抱き合い、それでもスティーブンはロンドンの現実へ、ヘイリーたちを危険から遠ざけ、自分の責任を果たすためにもどっていく。
スティーブンを襲う影はその後もやまない。スティーブンを狙うのはだれなのか?肉親を疑わざる負えないスティーブンは、ヘイリーとの暮らしと恋しがり、鬱々と暮らす。
そんな時、スティーブンの妹で親友ジャスティンの妻であるビクトリアはスティーブンとジャスティンの会話からヘイリーのことを聞きつけ、ヘイリーをお茶に招待する。ヘイリーはビクトリアにスティーブンが侯爵であることを聞き、命を狙われていること知る。なんとかスティーブンを助けたいヘイリーはある舞踏会でスティーブンと再会するが、スティーブンは自らの危険がヘイリーに及ぶのを恐れて辛辣な口調でヘイリーを非難する。ヘイリーがその場を逃げ出した直後、スティーブンを狙っていた犯人が現れ、スティーブンは打たれてしまう。
再度スティーブンを助けたヘイリーだったが、スティーブンが助かったことを見届けると自分の家へと帰ってしまうのだった。けがから復活したスティーブンは意を決してヘイリーを訪ねるが、そこにはヘイリーと昔の婚約者が家族とともにいて。。。

 よく出来たロマンスです。個人的な感情や日々の暮らしが細かく書いてあってだからスティーブンがヘイリーにひかれていく過程がちゃくちゃくと実感できるわけです。
が、もう少し盛り上がるのある話が好みの私には、少しものたらなかったなぁ