ふりかえれば愛

アイリーン・グージは初めて読んだ作家さんでしたが、「偽りの薔薇の園」という全米ベストセラー本が2000年にも出ていて、ぞの続編の「愛と真実の薔薇」も出ていたわけでした。
はでな官能シーンもないけど、ほんのりと恋愛が絡み合って、4人の男女の幸せにたどりつくための悩み、葛藤、悲しみそして決断が書いてあって、かなり好みでした。先に出ていた本も読みたいなあ。。古本屋に探しに行こうかなあ。

 

プリンストン大学の同級生だった4人は36歳を迎え、それぞれが悩みを抱えていた。
芸能レポーターのスティーヴィーは母しかいないと思い生きてきたが、突然往年のロックスターが父であることが判明しショックを受ける。愛し合う恋人とは半同棲を続けながら結婚に踏み出すことができず、彼から結婚を迫られるたびに逃げていた結果、恋人に捨てられてしまう。逃がした魚がどんなに大きかったか、悔やんでも悔やみきれないスティーヴィーだった。
未婚で恋人もいないが著作代理人としては確固たる地位を築きあげたフラニーは自分の体内時計が子を持つ可能性を日々すり減らしていくことに脅え、シングルマザーとしてでも子供を持つことを決意する。実の母にいいように人生を操られていたと思いながらも今は癌を病んでいる母マージョリーをきっぱり切り捨てることができず、子ども、仕事、母の世話と日々忙しく暮らしているエマースン。
妖艶なフランス美人の妻との間に子もでき、妊娠中で神経質になってしまった妻を支える広告代理店の重役ジェイ。

 
スティーヴィーは父と初めて会い、父が容疑者として挙げられていた傷害事件を調べながら細々とした親子の絆を築いていく。フラニーは、親友ジェイの妻の好意でジェイの子供を妊娠し、キースという新しい恋人もできて幸せな日々。エマースンは母の夜間付添い人のナイジェリアの男性と魅かれあい、人種の壁と母との確執に気持ちを乱され、自分の気持ちに素直に行動することができない。
そんな中、ジェイとジェイの妻の間にできた子は死産してしまう。現実を受け入れず、ジェイと痛みを分け合おうとせず両親の元、フランスに逃げる妻にむなしさを感じるジェイ。フラニーとの間は親友であると同時に子の両親としての絆が強くなっていく。フラニーもジェイを大切に思い、深くなるキースとの関係によってジェイが子から離されることを心配する。

4人の人生が絡み合い、悩んで、愛して、幸せになる。っていうただそれだけなんですけど、良い話なんです。
みんなそれぞれいろんな悩みがあって、傍からみればすごく幸せそうで悩みなんかなさそうに見えても、苦労も悩みっていうことは平等にみんなに分け与えられるんだな、って思いました。
フラニーとジェイの絡みはある種特別でこういう絆をもつ男女であれば、くっつくのが自然なのかな。っておもいました。
特にお気に入りというか、注目したのがエマースンかな。NYの上流階級の子として育てられながら、実はすべてが借金だらけで、紳士録に載ることを重視する母を軽蔑しながらも、結婚した男性は紳士録に載っている男性。子を産み育てながら、ある日何もかもがいやになって離婚してしまうところもなんだかわかる。レジーにひかれながらも、肌の色によって生じるトラブルも予見しながら慎重に関係を進め、そして信じようとしながらも自分の国のやり方を通してしまい、その結果レジーを疑ってしまったこと。
でもレジーのような男性は他にはいない、と追いかけて捕まえる彼女はすてきでした。やっぱり愛は障害を乗り越えないとね。

よい話でした。