あなたの心につづく道

ジュディス・マクノートの名作、「ALMOST HEAVEN」の翻訳です。
「パラダイスを君に」から数年なってこのところパタパタと翻訳されてきてますね。うれしい限りです。


絶世の美女で世間知らずに純真に、疑いを持つことを知らずに召使たちに育てられたエリザベスは、ヘイブンハーストの伯爵位を継ぐと同時に父の借金と義理の兄に借金も相続し、今すぐに裕福な花婿と結婚しなければ破産してしまう状況に立たされた。

 花婿を探しに出かけたロンドンで、実業家のイアンと出会い恋に落ちるエリザベスだが、イアンにひかれながらも貴族との結婚を優先しようとする。純粋で人の悪意を知らなかったが故に罠にかけられ、気づいたときにはやっとまとまった子爵との婚約は破棄され、社交界からは追放され、頼りの兄も失踪し、エリザベスの存在を苦々しく思う叔父が後見人になっていた。
伯爵でありながら日々の生活のために値切りながら買い物をする日々。それでも美しいヘイブンハーストがあれば幸せを感じていられるエリザベスだった。
そんなとき、エリザベスの叔父がエリザベスを結婚させるため、昔の求婚者にエリザベスを差し出すような手紙を出す。ほとんどの求婚者からは返事がなかったが3人からは連絡があった。その中には2年前のエリザベスとのスキャンダルの相手、イアン・ソーントンからの(宛先を間違えた)手紙も含まれていた。
そしてエリザベスはすべての縁談を破談にすべく策を巡らせ、頭を使い最初の2人の貴族とは、相手の屋敷についたそうそうから恐れられ、破談にすることに成功したようだった。
しかし、イアン・ソーントンの粗末ながら自然の美しいコテージにたどりついたときには、ここも早々に追い出されて英国に帰るのは、叔父の反応を考えると得策ではない、としばらく滞在させてもらうことにする。
2年前に消えたはずの2人の思いは、一緒にいることにより再燃し、お互いの愛を認識し始めるがちゃらちゃらした金持ち女伯爵としてしかエリザベスをみていないイアンは、2年前と同じ轍は踏むまいとしてたびたびエリザベスを傷つける。イアンの叔父もやってきて、2人の縁結びに役立とうとするが、そこへエリザベスの叔父の使いがやってきてエリザベスが早々に退去してきた2人の貴族から結婚の申し入れがあったので帰国するよ連絡があり、驚愕しただちに貴族との結婚を回避する方法を探さねばならないエリザベスは英国にむけて出発する。
エリザベスは去った後、初めてこの2年の間にエリザベスがおかれていた状況、原因などを聞かされたイアンは、エリザベスに求婚すべく、相続してくれと頼まれながらも、勘当された父と母への愛情から一度あったことのない祖父に連絡をとり公爵位を継承することを決める。
エリザベスの親友アレックス一家の後押しと、公爵の孫として現れたイアンの策略により社交界に復活したエリザベス。美しく、このよのものとは思えぬほほえみを浮かべ、純真さと誇り高さの化身としてふるまう彼女をみて、イアンはエリザベスへの愛を確信する。そしてエリザベスのイアンに向けたほほえみに自分への愛をみたイアンはめんどくさい求婚の手続きを踏み、エリザベスの要求をなんでものんでやっとエリザベスと結婚するのだった。
2人は結婚し幸せな日々を送っていたがエリザベスの兄が現れるとともにイアンがエリザベスに隠しておきたかった事実が明らかになり、エリザベスはイアンへの愛と兄への思いに心を引き裂かれながら姿を消してしまうのだった。

うーーーーーーーーーーーーーーーーーん
おもしろかったのですが。。やはり、痛いですね。
アイルランド人とイギリス貴族の特徴を色濃く引く数字の天才イアンは傲慢で裏切りを許せないタイプ。そして自分の心を切りとっても、過去の出来事、ひと、ものを自分の人生から消し去ることができるタイプ、なので自分を信じなかったエリザベスに対しての仕打ちはものすごく冷たい。ひどい。痛いです。
読むのがつらかった。
そんなイアンに「あたなの夢に現れて、あなたが耐えられなくなって私の元にもどってくる。私はいつまでもあなたを待ってる」って言えるエリザベスは、すごい。世間知らずの性でスキャンダルに巻き込まれ、兄を信じたために夫に背を向けられ離婚を迫られても、踏みとどまれる勇気?愛情?はすごい!と思いました。
最後はある意味耐久戦でしたが、もっともっとイアンががんばっちゃったらどうなっちゃたんだろう。。なんて意地悪く考えたりもします。

イアンがコテージにやってきて2人の和解のシーンはそれまでがいたかったこともあってとてもよかったです。何度も何度も、最後だけ読み返してしまいました。