誰かにみられてる

カレン・ローズの3作目にして2005年RITA賞を受賞した作品です。
2006年に文書文庫からでましたが、続きは早川からでています。

クリスティンは検事補としてレイプの被害者の弁護を担当していた。中には明らかに有罪でありながら社会的地位や加害者に有利な弁護士などによって無罪を勝ち取るものもいて、クリスティンは常に気の抜けない日々を送っていた。
そんなある日、クリスティンのトランクに連続レイプ犯の遺体の一部が残される。「最愛なるクリスティンへ」と書かれた手紙と一緒に。
クリスティンが不当な理由で敗訴した被告たちが次々と殺されていく。だが、正義をはたしているはずの殺人は別の形の恨みを生み、その矛先がクリスティンに向けられた。

 

 クリスティンは、愛情の薄い家庭で育ち、20歳の時にレイプされ妊娠しその子を養子にだした過去を持つ。エイブは刑事として追っていた事件の容疑者の家族により、妊娠8か月の妻を撃ち殺された過去をもち、その後は麻薬捜査官として潜入捜査を長く続けてきた。2人とも、というか話に登場する人のほとんどが、犯人も含めて、何かの傷を負っていて、だれも無傷ですまされない。


事件に巻き込まれ、マフィアに追いかけられおびえるクリスティンにゆっくりと親しくなっていくエイブ。エイブの家族に受け入れられ、エイブの亡くした家族の事をしるほど子を手放してしまったことに痛みを感じるクリスティン。2人の関係の深まり方はとても自然に感じましたね。
極悪なレイプ魔をおいつめる犯人。犯人を追い詰めようとする警察。犯人とのつながりがあるとみられるクリスティンを追い詰めるマフィア。とにかく、どうなるの?どうなるの?とハラハラドキドキしてページをめくってしまう話です。

エイブのかっこよさ、誠実さ、包容力もあって、ロマンテック・サスペンスとしては1位になるくらい、お気に入りの作品です。