炎と花

1799年、両親を亡くした17歳の娘ヘザーは、英国の片田舎で伯母と暮らしていた。ある日、伯母の弟ウィリアムの招きでロンドンを訪れた彼女は、ウィリアムに暴行されそうになり、あやまって彼をナイフで刺してしまう。その後、狼狽してあてどなく街をさまようヘザーに目をつけたのは、アメリカの商船の乗組員二人。彼らはヘザーを娼婦だと思い込み、船長のブランドンのもとへと連れていった。

ブランドンは性急に事に及び、後になってヘザーが娼婦でないことに気づく。だがヘザーに魅了されたブランドンはヘザーを手元に置こうとするが、へザーはなんとか逃げ出して伯母の元へと逃げ帰ってしまう。

伯母の家でそれまで同様、労働に明け暮れる日々を過ごしていたへザーは、伯母に膨らんだ下腹部を見られ、妊娠していたことがばれてしまう。へザーはできるだけ正直に話し伯母はヘザーの父の知り合いの貴族、ハンプトン卿にブランドンを探させる。
ハンプトン卿に逮捕されるかヘザーと結婚するか、と脅迫された形で結婚したブランドンは期限が悪く、新婚のヘザーにヘザーと子供の面倒はみるが召使同様に扱うと宣言する。
脅え腹を立てるヘザーだが、ブランドンと行くしかないことは理解していた。恐れながらもハンサムな顔を見つめ、ブランドンに似た子を抱くことを楽しみに感じていく。

 2人は船でチャールストンに渡り、ヘザーが想像もしなかった大邸宅にたどりつく。黒人の召使ハティをはじめすべての召使がヘザーを女主人として歓迎し、ブランドンの弟ジェフも義姉をやさしく迎える。家になじみ、生活に溶け込むヘザーにブランドンはひかれていくとともに、自分で建てた誓いを破るわけにもいかず、イライラして過ごす。ヘザーはブランドンにいつかは愛されるのではないか、と細い希望を抱きながら、昔の婚約者ルイーズの存在に気をもんだり、子の誕生のための改装に忙しく過ごす。そしてブランドンはヘザーへの愛に気づき、出産がすんでしかるべき時間をおいてヘザーに求婚しようと決意する。

小柄で美人で頭の回転がよくてやさしいヘザー=花と
ハンサムで男として事業で成功し、母をこよなく愛した父と一線をおきたいと思いつつヘザーにひかれる気持ちを抑えきれない癇癪持ちはブランドン=炎のお話です。
後半にいくにつれ、2人の気持ちが盛り上がっていって、でも誤解や勘違いでお互いを傷つけあうたびに、きゅん!とするほど切なくなっていきます。
王道っていうんですかね。
なんど読み返してもおもしろい本です。