奪われた女伯爵

グラハム・クラン シリーズの2作目です。 一作目は「流れついた紋章」で「奪われた女伯爵」のヒーローの長兄の話です。 18世紀、スコットランド北部の湖に浮かぶ美しい島で、令嬢クレアは愛する家族に囲まれ、幸せに暮らしていたが、グレハム一族のフレイザーと出会い恋に落ちる。クレアには父と2人の兄がいたが、グレアム一族を訪問した帰りに牛泥棒に襲われ急死してしまいます。 クリアの幼い弟が伯爵位を継ぐが、そこにクレアと妹弟の後見人として評判の悪いクレアの叔父の未亡人イザベラとその恋人のウォルター卿がやってきます。

 あまりに早い後見人の登録に疑いをいだくグレハム一族。クレアの父が生前、イザベラは貪欲な策士だといっていたこともあり、クレアも最初は疑いをもっていましたが、予想を上回るら立ちでクレア達弟妹を面倒みてれることにより、徐々にイザベラ達になじんでいき、信用するようになります。
クリアは叔母の反対を押し切り、フレイザーと結婚し幸せな日々を送りますが、そのころ伯爵を継いだ弟が原因不明の病気で瀕死の状態となり亡くなってしまいます。
そして女伯爵になったクレアは、ある陰謀によりイザベラ達を疑うフレイザーを拒絶し、別れてしまうのでした。

ヒロインは女伯爵、ヒーローは弁護士という結構現実的な設定です。
2人のラブストーリーは細かく書かれていて気持ちの上でも性格もぴったりの二人はほほえましいです。別れて、再会したときにも、ヒーローのユーモラスなところやヒロインの頭の切れる部分がマッチして思いがけず会話がはずみます。
ただ、時代性なんでしょうか?血縁関係のない親戚にいいように操られてしまい、最後に命さえも危うい状態まで追い詰められてしまうヒロインはかわいそうでもあり、理不尽な気がしました。本当に瀕死の状態までいってましたが、助かってよかったですね。時間はかかったけど、確実にウォルター卿を止める手立てをうってやってくるヒーローはまさし冷静な弁護士ってかんでした。

ーーーーーー1作目ーーーーーーーーーーーーーーーー

1740年スコットランド、ハイランド地方。ある夜、一隻の船が座礁し、美しい半裸の娘が海岸に打ちあげられた。高貴な雰囲気を漂わせ、フランス訛で話す 彼女は、モンリー伯爵の保護下に置かれた。寝食をともにするうち、互いの魅力に抗うすべもなく二人は急激に惹かれあう。それでも娘は、記憶喪失を装いつづ けた。みずからの素性を明かすことは、彼女にとって身の破滅を意味していた