傷だらけの逃亡者(モライア・デンスリー)

ちょっと変わったロマンスです

ヒロイン=ソフィアは母譲りの美貌を持ちながら幼いころから父からDVを受け体は傷だらけ。もともとは頭脳明晰で数か国語を自由に操り、文学や文化に精通し、ピアノもプロ並みに弾きこなす女性だったが、父が借金のために彼女のことをさる貴族に売り飛ばしたことから父のもとを去り、変わりものと有名なデヴォン伯爵のところで偽名で働いている。ヒーローのデヴォン伯爵は、サヴァン症候群?気味であらゆることを記憶し、なんでも(音符を逆読みしても)ピアノで演奏し、ソフィア同様数か国語を自由にしゃべるが、先の戦争でスパイとして活躍した経験(拷問等も含め)にとらわれ、悪夢にうなされ、アルコール中毒中な毎日。

 ヒーローが叔母へ書きかけていた手紙にソフィアがいたずら心を出して追記したことがきっかけで親しくなる2人。ヒーローの姪で、パリの娼婦のような 話方をする三姉妹ように、ソフィアは家庭教師として雇われ、さらにヒーローとの距離が近づいていく。父と母の動向をいつも注意し、いつでも逃げれるよう に、と心の準備をしているソフィアには、惹かれたくないのに一緒にいればいるほど惹かれていくこまった状況。

実はヒーローは、噂に精通した叔母と昔の情報網をつかってヒロインが誰なのか調査済み。

何か事情があるのはわかるが、頼ってくれたら・・・・と純粋な保護の気持ちでヒロインを包み込みヒーロー・・ゆっくりと信頼関係と愛をはぐくむ2人に、父の追手がせまってきて・・・・

 

2人とも賢く、ヒロインは会話にしても何にしても主導権を握りたがる傾向にあり、そこを理解しているヒーローが優しくなだめながら進行していく姿がよいです。

とっても優しいけど、やるときは容赦なくやるヒーローがかっこよすぎます。そういうヒーローにとっても、ヒロインといるときは、過去の亡霊が消え、幸せな気持ちになれる救世主でもあり、とっても大切にしていくのだろうなあというのが感じられて、2人とも結構不幸だったはずが暗くもならず読み進められます。

おすすめです。

当作はRougemont Seriesとなっているようで、二作目のヒーローはヒーローの友人としてでてきたプレストン伯爵のようです。翻訳してくれるといいな。

BOOKS – Moriah Densley